小型GaNモジュール
業界初(注1)「小型GaNモジュール」を開発
当社は、高度なモジュール化技術により、米国Transphorm社製の高耐圧GaN-FETチップをドライブ回路とともに内蔵した「小型GaNモジュール」を業界に先駆け開発しました。
小型GaNパワーモジュールを電源関連や産業機器へと順次製品展開していきます。
また、将来的には車載分野での採用も視野に開発の強化および量産体制の構築を進め、電子デバイス事業の新たな柱として成長させていきます。
- 注1:
- ドライブ回路内蔵・高耐圧チップ搭載・フルブリッジ構成モジュールにて(2021年6月15日現在、当社調べ)
GaNデバイスとは
GaN(窒化ガリウム)はSiC(炭化ケイ素)と並び、現在主流のSi(シリコン)に代わる次世代半導体材料として注目され、実用化が進んでいます。
GaNはスイッチング性能に優れ、スイッチング周波数の高速性や電力損失を大幅に低減する高効率性を最大の特長としています。電源回路やモーター駆動回路、その他のパワーコンバーターやインバーターシステムの小型化や高効率化を容易に実現できるほか、SiCよりも低コストなデバイスとしても注目を集めています。
開発品の特長
1. Transphom社製のGaN-FETチップをドライブ回路とともに搭載
GaNデバイス開発のリーディングカンパニーであり、市場での採用実績が豊富なGaNデバイスラインアップを有する米国Transphorm社製のGaN-FETチップ(最大定格650V-40A)を搭載した小型モジュールです。
サンプル製品はドライブ回路を内蔵し(注2)、4素子と6素子のGaNチップで構成された2種類のモジュールを提供予定です。今後、モジュールのさらなる小型化、薄型化、低コスト化を目指し開発を進め、大容量かつ高効率なTransphorm社製次世代チップの搭載も順次予定しています。
2. 高度な設計・実装技術により小型モジュール化(注3)を実現
GaNデバイスは、電力損失を低減する反面、高速駆動のため、ノイズや誤動作に注意する必要があります。また、周辺回路の設計には高い専門性が不可欠であり、現在主流のSiデバイスと同じ手法ではモジュール化が困難とされていました。
当社は、産業機器向けインバーター用パワーモジュールの開発で培ったパワーデバイスの回路設計と実装技術に加え、小型化を実現する構造技術を駆使することで課題を解決し、モジュール化を実現しました。
3. 高速駆動、電力損失(導通損失・スイッチング損失)の大幅低減を実現
GaNは、パワーデバイスの要であるスイッチング性能に優れており、効率のよい動作で電力損失を大きく低減します。現在主流のSiよりも高周波ドライブが可能となり、モジュール周辺のドライブ回路を小さくすることができ、省スペース化を図れます。
本製品はドライブ回路と複数のGaNチップで構成しており、インバーター用途に対しては低抵抗化、DC-DC コンバーター用途に対しては高周波化により、電力損失の低減を実現します。
- 注2:
- ドライブ回路無しも選択可能
- 注3:
- 4素子入り:D×W×H=34×63×12mm / 6素子入り:D×W×H=35×46×8mm
想定分野と用途
想定用途
各種電源の電力変換部
・インバータ出力部(DC→AC変換部)
・インターリーブPFC
・ダイオードブリッジレスPFC
モータ―駆動インバーター
- ドライブ内蔵型モータのインバータ部
- 超高速回転/超高精度制御のモータ駆動
- 中~低出力時のエコドライブが必要な機器