畜産業におけるワンヘルスの実現を目指す実証実験を開始

紫外線水平照射技術「n-UV技術」により、鶏舎の空気環境改善を検証

当社とエアロシールド株式会社（当社子会社、以下エアロシールド社）は、大分県日田市の養鶏場で、紫外線水平照射技術「n-UV^(注1)技術」を搭載した装置を使用して、鶏舎の空気環境を改善する実証実験を開始しました。当社は実環境における浮遊菌検査技術を提供し、エアロシールド社は紫外線水平照射装置を提供します。実施期間は2023年12月から2024年11月です。なお、本実験は畜産用設備機器メーカーである株式会社大宮製作所の協力を得て行います。

今後、実証実験の結果に基づき、畜産業の現場における有効性や可能性を検証するとともに、事業者が導入しやすい製品開発およびビジネスモデル構築につなげていく予定です。

また当社は本実験により、厚生労働省・農林水産省・環境省が提唱する「ワンヘルス（One Health）」の実現に貢献していきます。ワンヘルスとは、人獣共通感染症などに対し、人と動物の健康と環境の保全を担う関係者が緊密な協力関係を構築し、分野横断的な課題に対して連携するという考え方で、各省庁において普及・啓発を推進しています。

【実証実験の背景】

鶏舎内は浮遊細菌と粉塵が高濃度で存在し、これが空気の衛生環境を著しく悪化させています。この高濃度の浮遊細菌と粉塵は、鶏の呼吸器病の発生と密接に関連しており、その増加が原因の1つとされています。加えて、鶏舎内の空気環境の管理は非常に難しく、特に冬期は鶏の育成に必要な室温を保つために換気を行うことができません。その結果、鶏の育成率低下や、食鳥処理場における廃棄率の増加を引き起こすなど、生産農家の経営に悪影響を及ぼしてきました。

また、2022年度は鳥インフルエンザが猛威を振るい、国内26道県で84事例が発生し、約1,771万羽が殺処分の対象となりました。特にエアロシールド社が本社を置く九州は畜産業が盛んであり、当社グループは鶏舎内の空気衛生環境の問題を身近な社会課題と捉えていることから、今回、ワンヘルスの実現を目指した実証実験の実施にいたりました。

当社グループは事業活動を通じてお客さまとともに持続可能な社会の実現へ貢献することを目指す「サステナブル経営」を推進し、重点テーマの1つに、健康・清潔・安全な空間提供を通じた「社会への貢献」を掲げています。これまでエアロシールド社が有人空間を対象にして培ってきた空気環境対策技術を、今後は畜産動物にも展開し、課題解決に取り組んでいきます。

（左）鶏舎内に設置した「紫外線水平照射装置」、（右）一定の間隔で鶏舎上部に装置を設置