脱炭素化が進む欧州においてATWの現地生産を開始
省エネ性に優れた新製品の投入により地球環境対策への貢献を加速
株式会社富士通ゼネラル(以下、当社)およびGroupe Atlantic(以下、GA)は共同出資で、ヒートポンプ式温水暖房システムATW(Air to Water)の欧州内での製造に向けた合弁会社FGAHPを設立し、脱炭素社会の実現に向けATWの売上拡大に取り組んでいきます。FGAHPの出資比率は当社が51%、SIC(ボイラー等の給湯・暖房関連機器の生産を行うGAの100%子会社)が49%です。2022年12月にフランス、ビリー・ベルクロウ(SIC内)に設立いたしました。
当社はサステナブル経営の重要テーマの一つである「地球との共存」の実現に向けて、事業を通じ地球温暖化対策への貢献に取り組んでいます。その一環として、化石燃料使用機器からの置き換えにより、二酸化炭素排出量の抑制が期待できるATWの事業拡大に取り組んでおり、2025年度には欧州全体で約50万台の販売を見込んでいます。この販売台数拡大にFGAHP設立が寄与します。なおATWは、二酸化炭素の排出量削減に大きく貢献する製品として、当社が独自に認定する「サステナブル・プロダクト(サスプロ)」の中核製品であり、地球環境対策と売上に貢献する重要な役割を担っています。
【GAについて】
GAは1968年に設立されたフランスに本拠をおく給湯・暖房機器メーカーで、当社とは30年にわたり提携関係にあり、当社空調機のフランスにおける代理店です。また、当社とGAは2009年にATWの共同開発契約を締結し、共同で商品開発・市場開拓を進め、ATWの欧州最大市場であるフランス国内における市場シェア1位の座を有しています。近年は技術者の人材交流や、共同開発の範囲拡大など協業を深化させてきました。
【合弁会社設立の目的】
ATWは、ヒートポンプ技術で作り出した温水をラジエーター、床暖房ユニット、貯湯タンクに送ることにより、屋内の暖房や給湯を行うものです。ヒートポンプ技術を利用することにより、化石燃料による暖房機と比較し、二酸化炭素の排出量を大幅に低減することが期待できます。
欧州では、国境炭素税やカーボンプライシングの導入が検討されているなど、脱炭素化の動きが加速しています。このような背景を受け、フランスをはじめとする欧州でのATWの売上は急速に拡大しており、欧州主要市場の需要は2027年度において、2021年度の約3倍まで拡大する見込みです。当社は FGAHPの設立により、今後高成長が見込める欧州内でATWの現地生産を行うことで、サプライチェーンや外的コスト増への対応、また地政学的リスクの低減に取り組むだけではなく、現地の需要に素早く対応し、欧州市場における更なる売上拡大を目指します。
またFGAHPでは、GAとの共同開発品であるATWモノブロック(室外機に水熱交換機を搭載)の生産を予定しています。ATWモノブロックは、室内機と室外機を接続する冷媒配管工事が不要で、施工性に優れることから、イギリスを中心に欧州で高いニーズが見込まれます。今後化石燃料に対する規制強化が見込まれるイギリスでは、政府が2025年を目途に新築物件へのガスボイラーの設置を制限する姿勢を表明しており、各国の環境規制もATWの追い風となっています。
当社はGAとの本合弁会社設立を通じて、2022年4月28日に「喫緊の課題への対応とサステナブル経営の推進」にてご報告した2023年度以降の成長路線の基盤作りを強力に推進し、サステナブル経営の加速を目指します。
【新製品のATWモノブロックについて】
GAとの共同開発品として「ATWモノブロック」をイギリス向けに2023年上半期に発売します。ATWモノブロックは、水熱交換機が室外機内に配置されている点が特長です。室内側に水熱交換器が配置されるセパレートタイプのATWと異なり、冷媒の配管工事が不要のため、施工の容易性に優れています。
新製品は、高効率の水熱交換器とインバーターを採用し、業界トップ(注1)の省エネ性を達成しました。また、大型のファンを搭載することで、優れた静音性も実現しています。
その他、景観を重視する欧州の住環境にもとづき、機械的な要素を低減した壁や庭に馴染む色調とすることで、設置環境と調和するデザインとしました。
ATWモノブロック(室外機)屋外への設置イメージ
注釈
- 注1 :
- ErP(暖房期間効率ηs)206%。欧州規格・EN14825(標準地域、温水温度:35℃の条件において。10kWクラス) 2022年11月24日現在。(イギリス向けヒートポンプ式温水暖房システムとして)当社調べ。