CSR 新価値創造

富士通ゼネラルグループの事業は、空調機、情報通信・電子デバイス部門に集約し、大きな発展を遂げていますが、これからも短期的な成果物の追求のみに陥ることなく、10年後、20年後、さらに、その先の未来を見据えてサステナブル経営を推進して、新たな価値の創造によって、快適・安心・安全な社会の実現に貢献する企業グループを目指していきます。

1. 新規事業創出活動の推進

富士通ゼネラルグループは、創業以来メーカーとして、常に技術の進歩・革新と共に成長し、数多くの世界初・業界初の技術を実用化し、多くの先進的な製品を生み出してきました。10年後、20年後を見据え、革新的なモノづくりを通じて、未来の子どもたちが明るく希望をもって暮らせる社会の実現に向け、新たな価値の創造に取り組んでいます。

イノベーション創出 The Future of Innovation Challenge(FIC)

Being Innovative Group(BIG) では、小集団活動によるイノベーションに取り組んでいますが、企業理念の実践、チャレンジする風土・文化をつくるために、富士通ゼネラルグループ全社員を対象とした、個人の発想を起点に、社会課題を解決する事業を創出し、スケールさせて行く、アイデア募集型の新規事業創出活動The Future of Innovation Challenge(FIC)を2020年より開始しています。

2回目のFICでは、2021年9月に一次選考を行い、5つのアイデアが審査を通過しました。その後、次のフェーズである事業化に向けた具体的な構想を検討するため、2021年10月~12月末までの約2ヵ月で、プロトタイピングやビジネスモデル検討、顧客検証を行い、二次選考に挑みました。

二次選考は、2021年12月にICC(注1)棟のセンターコートで開催し、各アイデア10分間のプレゼン、10分間の質疑応答を行い、審査基準に基づいた審査を行い、その後、審査員による審議を通じて、事業化検討の可否決定を行いました。

審議の結果、今後のビジネスの可能性が大いにあるものとして、3つのアイデアが、合格となりました。通過したアイデアについては、事業化審査に向け、継続して検証を行っています。

注1
Innovation & Communication Centerの略

BIGの立ち上げ

2016年に「新しい価値を創造し、世の中に提供する」ことを具現化するための専任組織BIGを立ち上げ、小集団活動によるイノベーションに取り組んでいます。

BIGの取り組みから生み出されたウェアラブルエアコン「Cómodo gear™」は、2020年度の国内企業を対象としたテスト販売を経て、2021年より国内企業向けの提供を本格的に開始しています。

2.サステナブルな製品の提供

ATW(ヒートポンプ式温水暖房システム)

ATW(ヒートポンプ式温水暖房システム)イメージ

欧州の暖房市場はエアコンよりもラジエーターや床暖房といった温水使用のセントラル・ヒーティングシステムが主流であり、家庭用エネルギーの約8割が暖房・給湯に使用されています。

近年では、フランス政府などにおいて、環境・省エネに配慮した高効率な温水暖房機器 ATW(ヒートポンプ式(注1)温水暖房システム) は、大気中の熱を取り出すヒートポンプ式で温水を作り、配管を巡らせて住居を暖めるため、従来のラジエーターや床暖房といったものと違い、化石燃料を使わないため、脱炭素政策により工事の補助金制度が整備されています。

高効率のヒートポンプ技術を採用したATWは、温室効果ガスを排出することなく運転することができます。また、安全・快適・効率的な温水システムで、今後さらに化石燃料を使用した燃焼式暖房機器からの転換が進んでいき、暖房市場でATWの需要が大きく伸びると予測し、2022年4月にATWを専門に開発する部門を「冷温水空調機開発部」として新設しました。

部門の新設により、2009年より共同開発を進めているフランスの空調メーカーであるATLANTIC社との迅速な意思の疎通を図ることで、エアコンのDCインバーター技術をベースとしたより高効率なヒートポンプATW「ウオーターステージ」の共同開発を加速させ、製品ラインアップを拡充しています。

注1
ヒートポンプ技術とは、空気中にある熱を集めて室内に供給することで、太陽熱起源の空気熱という再生可能エネルギーを有効に活用する技術であり、今後ますます普及する技術と考えられています。

寒冷地向けエアコン「ゴク暖 ノクリア」

寒冷地向けエアコン「ゴク暖 ノクリア」 イメージ

近年、住宅の高気密・高断熱化の進展や、燃焼を行わず室内外の熱交換により温度調整を行う安全性の高さ、夏季冷房需要の高まりから寒冷地でのエアコン需要は拡大し続けています。さらに、化石燃料を使用する暖房機器からの置き換えによる温室効果ガスの排出量削減が見込めることから、持続可能な社会実現に貢献する”サステナブルな暖房”としてSDGsの観点からも今後の成長が見込まれています。

このような環境のなか富士通ゼネラルグループは、業界トップクラスの暖房能力(注1)と高い省エネ性(注2)を実現し、最高約60℃(注3)の高温風で足元温度を最高約40℃(注4)で暖める寒冷地向けの暖房強化エアコン「ゴク暖 ノクリア」ZNシリーズを2021年11月より日本向けに発売し拡販しています。

注1
AS-ZN402M2 国内壁掛形家庭用エアコン4.0kW において。外気温2℃時暖房能力9.4kW。2021年9月1日現在。当社調べ。
注2
AS-ZN402M2 において。期間消費電力量1,081kWh。2021年9月1日現在。
注3
AS-ZN402M2 において。当社環境試験室(14 畳)、外気温-15℃、設定温度25℃、室温到達時、設定風量 強風、風向位置 暖房標準、あったかアップ設定とハイパワー設定時、約30 分間吹き出し口付近の最高温度を確認。風量は暖房定格に対して約50%低下。設置環境、使用状況により、60℃にならない場合があります。AS-ZN252M、AS-ZN282M2 は、外気温2℃時。
注4
AS-ZN402M2 において。当社環境試験室(14 畳)、外気温-15℃、設定温度25℃、室温到達時、設定風量 強風、風向位置 暖房標準、あったかアップ設定とハイパワー設定時、エアコンから約2.0m 離れた地点での床上10cmの最高温度。設置環境、使用状況により温度は異なります。AS-ZN252M、AS-ZN282M2 は、外気温2℃時。

インド市場向け冷房専用インバーターエアコン

インド市場向け冷房専用インバーターエアコン イメージ

インド向けの冷房専用(以下、冷専)インバーターエアコンとして、地域の環境に適合しつつ、従来よりもコストを抑えた製品となっているため、一定速エアコン(注1)からの買い替え促進により使用時の電力消費量を抑えられることから、電力需給逼迫の緩和に寄与できます。

注1
設定温度を基準に圧縮機の回転数は一定で、ON とOFF を繰り返し制御するエアコン。設定温度になるまで時間がかかり、温度ムラが生じる。

小型GaNモジュール

小型GaNモジュール イメージ

株式会社富士通ゼネラルエレクトロニクス(以下、FGEL)では、2021年6月に米国のTransphorm社製の高耐圧GaN - FETチップ(注1)をドライブ回路とともに内蔵した「小型GaNモジュール」(サステナブル プロダクト・ゴールド認定第1号)を、業界に先駆けて開発し、2021年秋よりサンプル出荷を開始しています。

この小型GaNモジュールを使うことで、電源関連、産業機器や車載機器など、多くの分野でGaNの特長を活かした高効率で省エネ効果を生む製品の実現に寄与する事が期待されています。今後、開発の強化、および量産体制の構築を進め、事業の新たな柱として成長させて行きたいと考えています。そして、将来的には、「サステナブル経営」への取り組みの大きな柱となり、事業の成長と持続可能な社会実現への貢献を両輪で推進して行きます。

注1
GaN(窒化ガリウム)、FET(Field Effect Transistor:電界効果トランジスタ)。

エアロシールド

エアロシールド イメージ

エアロシールド株式会社(以下、エアロシールド社)は、一般財団法人日本繊維製品品質技術センターと共同で、業界で初めて(注1)紫外線水平照射技術「n-UV技術」により、1㎥の密閉空間に浮遊する新型コロナウイルス(デルタ株)が1分で99%以上不活化することを確認しました。なお、本技術はエアロシールド社が独自に有しており、有人空間で紫外線を水平照射してウイルスや細菌などを不活化するものです。

富士通ゼネラルグループは、今後も清潔・除菌分野における研究開発に注力し、世界の空気環境対策へ貢献していきます。

注1
紫外線を水平照射し、浮遊する新型コロナウイルスを99% 以上不活化することにおいて。2021年11月19日時点(当社調べ)

救急車搭載用「エアロシールド」を開発

救急車搭載用「エアロシールド」を開発 イメージ

エアロシールド社は、救急車搭載用の紫外線照射装置「エアロシールド」を開発しました。

本製品は、救急車内の空気を装置内に取り込み、UV-C(注1)を照射することで浮遊菌やウイルスを減少させることが期待できます。オゾンレスランプを採用することにより無臭での空気環境対策を実現するほか、車両に電力が供給されている間は常時稼働するため操作の必要がないなど、救急救命士に負荷をかけない仕様としました。(2022年2月より出荷開始)

注1
紫外線は可視光線よりも波長が短い光で、特に100 ~ 400nm の波長域のものを指します。波長別に「UV-A」「UV-B」「UV-C」の3種類に分類され、UV-Cは深紫外線とも呼ばれ、波長100 ~ 280nm の光を指します。

身に着けるエアコン「Cómodo gear i3(コモドギア アイスリー)」

身に着ける冷却加熱装置「Cómodo gear™ i3 」 イメージ

富士通ゼネラルは、猛暑下の安全性確保や作業性向上に貢献するウエアラブルエアコン(注1)の冷却性能を向上させた新モデル「Cómodo gear i3(コモドギア アイスリー)」を2023年より提供しています。

コモドギアは、首に装着した冷却部が頸動脈を流れる血液を水冷式で冷却し、高気温下でも高い快適性を実現します。

また、高温によるダメージを受けやすい脳に近い首回りを冷却することは、医学的にも有効な暑さ対策とされていて、使用したお客様からは「猛暑の現場でもよく冷え、使用すると頭がスッキリする感覚があります」などのご感想をいただいています。

注1
本製品は熱中症を予防するための医療機器ではありません。

豪雨や騒音下でも聞き取りやすい防災無線放送の新技術を開発

豪雨や騒音下でも聞き取りやすい防災無線放送の新技術を開発 イメージ

富士通ゼネラルは、2022年5月、神戸大学と共同で、豪雨や騒音下など季節や天候状況等に合わせ防災行政無線の放送音を自動で聞き取りやすく変換する技術「Sound Improvement Algorithm For Outdoor Loudspeaker Stations(以下、SIAFOLS、サイアフォルス)」を開発しました。

音声の伝搬特性は、季節や天候、周囲の環境により変化します。全国の自治体が備える防災行政無線は、放送音が聞こえても、放送内容が認識できないという課題がありました。SIAFOLSは、一般的に聞き取りにくい音(k、s、ts など)に「強調アルゴリズム」を適用することで、聞き取りやすい音に変換する新たな技術(注1)です。

注1
特許出願中。季節や天候状態に合わせ放送音を自動で聞き取りやすく変換する技術。

人材不足とワーク・ライフ・バランス支援

人材不足とワーク・ライフ・バランス支援 イメージ

株式会社富士通ゼネラルOSテクノロジーでは、フードサービス業のお客さまが抱える人材不足への対応とワーク・ライフ・バランス支援に貢献しています。

また、病院スマート外来案内システムを提供し、患者さまへのサービス向上支援にも貢献しています。

「業務支援BPO(注1)」サービス

お客さまの社内に散在するノンコア(直接利益につながらない)業務を効率化、標準化を行ったうえで定型マニュアルを作成し、当社スタッフがお客さまに代わり業務を遂行しています。

お客さまはノンコア業務を遂行する人材確保に心配することなく、社内の人材を企業成長のための業務へシフトしています。

病院スマート外来案内システム

スマートフォンのアプリと連携し、病院を受診する患者さまがより利用しやすいモバイルサービスを提供しています。

このサービス導入以前は、患者さまは診察まで病院内の待合室で待機する必要がありました。

しかしこのサービス導入により診察時間にはアプリでお知らせが通知されるため、待合室で待機することなくスムーズに受診することができるようになりました。また、待合室の混雑緩和にも役立ちます。

注1
システムを利用してお客さまが行っていた業務そのものを受託するサービス。

記載されたSDGsアイコンは、当社が活動することにより貢献できると考えるSDGsの目標です。