「nocria」開発プロジェクト #3 “世界初”をさらに進化させ、さらに新たな“世界初”に挑戦。

「省エネと小型化の両立」という難題

開発担当の杉山(掲載当時・担当部長)は、『nocria®』の小型化を最優先課題と位置づけた。

「原理的に、小型化と省エネは相反するものなんです。そもそも『nocria®』のコンセプトは、フィルターをキレイにしてエアコンの性能をフルに発揮させ、省エネを目指すというもの。部品や筐体の小型化で省エネ性能を低下させることとは許されない」

「この難題を解決したのが、当社独自の『ラムダ型熱交換器』だった。従来は一枚の板状だった熱交換器を、ギリシア文字の「Λ(ラムダ)」の形に折り曲げて、性能を上げる技術だ。いまでは業界標準となっているこの技術も、1991年に当社が世界で初めて製品に搭載したものだ。

2008年、最新のラムダ型の技術を採用した『Sシリーズ』は、取り付けスペースの問題を省エネ性能を損ねることなくクリアし、関西エリアでの販売台数も倍増した。

nocria Sシリーズ

シリーズ最大のヒットとなった『nocria® S』。SはsmallのSで、その名の通りコンパクトさが最大の特徴。

高密度熱交換器の特徴

ラムダ型熱交換器

4分岐マルチパス+高密度銅管概念図

『nocria® Sシリーズ』の『4分岐マルチパス+高密度銅管』概念図。銅管の直径が7mmから5mmになり、密度が高くなっている様子が見て取れる。

このヒットを足がかりに、2013年、新たな世界初の技術を搭載した『Xシリーズ』が完成。その新技術について、阿部は次のように解説する。

「もともと『気流の使い方がうまい』と定評があった『nocria®』ですが、その特長をさらに進化させたのが、世界初の技術『DUAL BLASTER®』です。室内機の両端につけられたサイドファンで風をコントロールするという画期的な技術で、省エネ効果をさらに高めてくれるのです」

さらなる進化のために、挑戦は終わらない

この『Xシリーズ』の登場によって、富士通ゼネラルのエアコンは最高級機までのフルラインナップを揃えることになる。これにより、当社は大手エアコンメーカーと肩を並べるポジションにまで昇り詰めたのだ。

その後、『フィルター自動清掃機能』は各社が追従し、今や業界全体に浸透する技術となった。

しかし、まだまだ、エアコンを取り巻く課題は尽きない。節電機運の高まりや、高齢化による安全・安心な製品へのニーズ増加などを受け、『nocria®』にもさらなる進化が求められている。富士通ゼネラルの社員一人ひとりの汗と知恵、そして飽くなき探究心を結集した挑戦は、これからも続く。