PRESS RELEASE

平成14年12月19日
株式会社富士通ゼネラル
(NO.02-N12-27)

業界初(注1)、新技術基準対応の

『フルデジタル防災行政無線』トータルシステムを発売開始

この度当社は、平成13年度総務省において改正された、「防災行政用デジタル同報無線システム」に対応した『フルデジタル防災行政無線』をトータルシステムとして業界で初めて(注1)開発完了し、平成15年1月中旬より出荷を開始いたします。

防災行政無線システムは、地域住民に対し、台風や豪雨など災害の事前周知や、二次災害防止などの緊急情報を拡声音声で通報する事を主目的として、地方自治体が導入を進めており、システム内容は、市町村庁舎に設置する「無線放送設備」、管内の通行量の多い場所などに設置する「屋外拡声子局」、地域住民の自宅や避難場所などに設置する「戸別受信機」の3種類の機器を中心に構成されております。

従来のアナログ無線システムでは、情報伝達量に制限があるため、一つの無線回線を複数の人が同時に使用することができないなど、高度なシステム利用の要望に適合しない様々な課題があり、これらを解決するため、総務省は、音声を含む全ての信号をデジタル化し、1つの周波数で多チャンネルの通信を同時に行える「防災行政用デジタル同報無線システム」の技術基準を改正しました。

当社は、この新技術基準に準拠し「無線放送設備」「屋外拡声子局」「戸別受信機」を含めた『フルデジタル防災行政無線』をトータルシステムとしては業界で初めて(注1)開発しました。

新システム(RC-7000シリーズ)は、「デジタル無線システムでの双方向通信、同時複数通信」に加え、様々な独自技術の開発により、「既設アナログ無線と新規格デジタル無線の共用」「新型操作卓の小型軽量化(当社従来機種容積比50%削減)および大幅な操作性の向上」「高周波電力増幅器の効率化による低消費電力化」などを実現し、従来のアナログ無線システムの様々な課題を解消しました。

これら新技術の開発により「拡声音声と同時に使用できる連絡通話チャンネルの確保」「電話と同じ双方向通話回線の2回線同時使用」「文字画像伝送等の同時利用」「世界標準規格のTCP-IP(注2)通信への対応」などの高機能化を実現しました。また、市町村合併時に各市町村に設置済の異なる方式や他メーカーシステムとの複数市町村にまたがる広域的なシステムの連動にも対応する柔軟なシステム構築を実現しました。

 

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『フルデジタル防災行政無線』トータルシステム(RC-7000シリーズ)の主な特長

  1. デジタル無線システムにより双方向通信、データー伝送、同時複数通信を実現。
  2. アナログ無線システムとデジタル無線システムの両方に対応する独自のデジタル / アナログ共用機能を搭載。
  3. 新型操作卓の小型軽量化(当社従来機種容積比50%削減)とともに操作性の大幅な向上を実現。

デジタル無線システムにより双方向通信、データー伝送、同時複数通信を実現

防災行政無線のデジタル化により情報伝達能力の大幅拡大と情報化の推進が図られ従来の同報通信(拡声放送)に加え、次のような新たな利用が可能となります。

  1. 市町村の防災課などと避難場所との間で双方向通話。しかも電話と同じ複信方式で通話が可能となり、一般の人でも操作が簡単。
  2. 市町村の防災課などから住民への情報伝達と同時に、職員などへの招集連絡、または災害現場からの緊急通信。
  3. 子局からの画像・データー送信機能により市町村の防災課などで災害現場や危険場所などの情報収集。
  4. 各種情報データーの蓄積や加工が容易になり、他のシステムや情報端末との連動。
    例えば、文字表示盤やFAXに防災情報を伝達することにより、より多くの住民に確実な情報を伝えることができます。
周波数帯 60MHz帯(54MHz~70MHz)
チャンネル間隔 15KHz
通信方式 同報通信、単向通信、単信、半複信、複信
通信形態 同報通信、一斉通信、グループ通信、個別通信
多元接続方式 時分割多元接続(TDMA(注3))方式
伝送速度 45Kbps以下
占有周波数帯幅 15KHz以下
変調方式 16値直交振幅変調(16QAM(注4)
空中線電力 10W以下
基本システム構成 操作卓、基地局無線装置、屋外拡声子局、戸別受信機

アナログ無線システムとデジタル無線システムの両方に対応する独自のデジタル / アナログ共用機能搭載

アナログ無線システムおよびデジタル無線システムの両方に対応する「デジタル / アナログ無線インターフェイス装置(DARU(注5))」を独自に開発し、標準装備することにより、アナログからデジタルへのスムーズな移行を実現しました。

1) 新開発のデジタル / アナログ無線インターフェイス装置

デジタル / アナログ無線インターフェイス装置(DARU : Digital Analogue Radio interface Unit)の新開発により、従来のアナログ無線にも新たなデジタル無線にも対応します。
本装置は標準装備で操作卓内に内蔵されます。

2) アナログからデジタルへのスムーズな移行が可能

既設アナログ無線システムをデジタル無線システムに移行する場合、以下のステップにより空白の時間もなく、スムーズな移行を可能とします。

  1. 既設操作卓をデジタル / アナログ共用の操作卓に切り換えアナログ無線で運用を継続
  2. デジタル無線機器(基地局、屋外子局、戸別受信機他)の据付工事実施
  3. デジタル無線機器の設置完了後、デジタル運用に切り換え
  4. アナログ無線機器の撤去工事実施

新型操作卓の小型軽量化(当社従来機種容積比50%削減)とともに、操作性の大幅な向上を実現。

1) 操作卓(RC-7000)の小型軽量化

操作卓内回路をFPGA(Field Programmable Gate-Array)の採用および最新のCPUを使用することで高密度化を図りプリント板枚数を削減しました。これにより、当社従来操作卓(RC-6100)で袖卓に収納されていた自動プログラム送出装置、音声記録装置を操作卓内に内蔵し、小型軽量化を実現しました。

(当社従来機種容積比約50%削減)


操作卓


2) 操作性の大幅な向上

15インチ大型タッチパネル方式LCDディスプレー装置の採用と、キー操作部をコンパクトな専用キーボード(コムボード(注6))にまとめたことにより操作性を大幅に向上しました。
また操作テーブル上も専用キーボード(コムボード(注6))の採用によりスッキリと整理されたため、十分な作業エリアを確保しました。

3) 柔軟な操作卓の構築

基本操作卓に基本的な機能を集約することで、顧客の要望による袖卓等の増設には、柔軟な対応が可能となり、機能の拡張が図れます。

高周波電力増幅器(パワーアンプ)の高効率化による低消費電力化と、独自のソフトウェア無線技術により異なる通信方式にも対応。

1) 高周波電力増幅器(パワーアンプ)の高効率化実現。

基地局、屋外子局では、独自のリニアライザー技術(直線性補償技術)により高周波増幅器の直線性を大幅に向上させ、10%以上の効率化により当社従来機種の2倍の低消費電力化(注7)を達成しました。
さらに、効率的な放熱設計により、熱の発生を抑制し、従来の基地局、屋外子局と同等の外観寸法を実現しました。

2) ソフトウェア無線技術により異なる規格のデジタル通信方式にも柔軟に対応可能。

デジタル変復調、リニアライザー、チャネルコーデックなどの処理は、DSP(Digital Signal processor)、FPGA、CPUなどの汎用LSIを用いてすべて書換え可能なソフト処理で行うことにより、異なる規格のデジタル通信方式にも柔軟に対応します。さらに専用LSIを開発する場合と比較すると、開発期間を大幅に短縮することを可能としました。


無線部デジタル信号処理基板


独自開発の連動制御装置により、他システムとの連動を実現。

独自開発の連動制御装置により、設置済の防災行政無線システムと近隣の消防指令システムとの連動を実現しました。これにより、消防本部からでも通報ができるようになり、迅速な災害放送・避難誘導を可能としました。

また、当該市町村の防災課などの防災行政無線システムと近隣の市町村の防災行政無線システムを連動することで、近隣地域への通報も可能となり、災害に対する広域で迅速な対応をも実現しました。

価格・発売時期

価格
顧客仕様により別途見積
出荷時期
平成15年1月中旬

注釈

注1 業界初 :
平成14年12月19日現在(当社調べ)
注2 TCP-IP :
Transmission Control Protocol - Internet Protocol
注3 TDMA :
Time Division Multiple Access
注4 QAM :
Quadrature Amplitude Modulation
注5 DARU :
Digital Analogue Radio interface Unit
注6 コムボード :
コミニュケーションボード
注7 当社従来機種の2倍の低消費電力化 :
従来は10W出力時に200Wの電力を消費しましたが、新開発の高周波電力増幅器では、同じ10W出力時に100Wの電力消費となるので、消費電力は半減します。

 

発表資料中の「価格」・「仕様」など記載内容は、発表日現在のものです。
予告なしに変更されることがありますので、ご了承ください。

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