PRESS RELEASE

平成16年12月13日
株式会社富士通ゼネラル
(NO.04-N07-20)

出力1.5倍※1、最大効率86%を達成し、高出力、高効率を実現した

世界初※2エアコン用アキシャルギャップ形ファンモーターを開発

( MFD - 71PO )

このたび当社は、エアコン用として世界で初めて※2アキシャルギャップ形ファンモーターを開発いたしました。新モーターは、従来と同一容積でありながら出力1.5倍※1、モーター最大効率86%を達成し、高出力、高効率を実現しました。来年より発売するエアコン 新「nocria®」シリーズに順次搭載してまいります。

年々大型化するリビングルームに対応するため、省エネ化はもちろん、広い部屋をすみずみまで快適にするパワフルなエアコンの需要が増加しております。そのためエアコン内部の熱交換器や送風機の効率よい配置をする必要があり、コンパクトで高出力なファンモーターが求められています。従来のラジアルギャップ形ファンモーターでは、出力を大きくするためには、容積を大きくする必要があります。当社は、コンパクトな上に高出力、高効率なエアコンを実現するため、エアコン用として世界で初めて※2アキシャルギャップ形ファンモーターを開発、製品化に成功いたしました。

アキシャルギャップ形ファンモーターは、円板状のマグネットを使う構造上、磁力の吸引、反発による振動抑制の改善が製品化の課題でした。当社では電磁界・構造の各種シミュレーション技術を用いた形状の最適化や、電子制御技術の運転最適化による独自の静音化技術を開発することにより騒音を低減いたました。

新モーターは、来年発売予定の「nocria®」から順次当社エアコンに搭載し、省エネ性能の向上を図ります。さらに、コンパクトで高出力という利点を活かし、パッケージエアコン、住設用機器などのほか、自動車ラジエター用や電動自転車用などとしても積極的に応用展開、外販を推進してまいります。

アキシャルギャップ形ファンモーター ( MFD - 71PO )

( 特許出願件数 16件 )

大きい画像

アキシャルギャップ形ファンモーター ( MFD - 71PO )写真


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当社従来ラジアルギャップ形ファンモーターと比べて
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平成16年12月13日現在 エアコン用ファンモーターとして

アキシャルギャップ形ファンモーター( MFD -71PO )の主な特長

  1. アキシャルギャップ形ファンモーターとは
    1. コンパクト設計で約1.5倍※3の出力アップ
    2. 業界トップ※4の省エネ性能 ( モーター最大効率86% )
  2. 当社独自の低振動化技術
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当社従来ラジアルギャップ形ファンモーターと比べて
※4
平成16年12月13日現在 エアコン用ファンモーターとして

1.アキシャルギャップ形ファンモーターとは

モーターは、マグネットと鉄芯に銅線を巻きつけた複数の電磁石が、回転軸を中心に磁力による吸引、反発を繰り返すことで軸を回転させています。また、機能としては電磁石に流れる電気エネルギーを機械エネルギーへ変える機器であるため、効率良くエネルギー変換をすることがモーターの性能を左右します。

当社は理想的なエネルギー変換を行うためアキシャルギャップ形ファンモーターの開発を行い、電磁石を2つの円板状のマグネットで挟み込む構造を実現しました。この構造は、マグネットと電磁石の間を行き来する磁力の通り道が短くできる上、電磁石の銅線においても最適な巻線設計が実現しやすく、エネルギー変換の効率低下を招く鉄芯で発生する「鉄損」や巻線で発生する「銅損」を抑えることが出来ます。また、円板状のマグネットと挟み込んで電磁石を設置することで、マグネットと電磁石の向き合う面積が大きく取れるため、コンパクトサイズのモーターで、高出力化が可能になりました。

これにより、同サイズの当社従来ラジアルギャップ形ファンモーターに比べ、最大出力1.5倍※5まで引き上げ、最大効率を10%向上させることを実現しました。

アキシャルギャップ形ファンモーター構造図(円形状のマグネットを2枚使用マグネットがコア・コイルを挟み込む ラジアルギャップ形ファンモーター構造図(円筒状のマグネットを1つ使用マグネットが円環状のコアコイルの中にある

i) コンパクト設計で約1.5倍※5の出力アップ

エアコン用をはじめとして、モーターは常に小型化と高出力が並行して求められています。新モーターでは、軸受け部をモーター中心部に配置するなど、モーター内部の高密度化を図ることでコンパクト化を実現しております。

さらに高出力を得るために円板状のマグネット2枚で電磁石を挟み込むことや、それぞれが向き合う面積が大きくとれるため、同一容積の当社従来ラジアルギャップ形ファンモーターに比べ、1.5倍※5の高出力を実現しました。

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当社従来ラジアルギャップ形ファンモーターと比べて

アキシャルギャップ形ファンモーター/ラジアルギャップ形ファンモーター写真


ii) 業界トップ※6の省エネ性能(モーター最大効率86% : 従来比※710%向上)

ラジアルギャップ形モーターでは、電磁石の芯となる鉄芯が、モーターの外周で一体となっているため、巻きつける銅線の太さは、隣り合う鉄芯の隙間幅に制限されることから、細めの銅線が使用されます。

アキシャルギャップ形は、分割された電磁石を採用するため、ラジアルギャップ形に比べて電気抵抗の少ない、太めの銅線を巻きつけることができます。このため、エネルギー変換の効率低下を招く要因となる「銅損」を抑えることができます。

さらに、当社独自の駆動方式として「正弦波駆動自動進角制御」を開発、新モーターに搭載することで、電圧、電流を制御して、最も効率の良い回転を行います。これらにより、業界トップ※6のモーター最大効率86%(従来比※710%向上)を実現しました。

アキシャルギャップ形は鉄芯ひとつずつを個別成型なので太い銅線を使用できる。ラジアルギャップ形は一体成型なので銅線の太さが隣接する鉄芯の幅に制限される。

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平成16年12月13日現在 エアコン用ファンモーターとして
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当社従来ラジアルギャップ形ファンモーターと比べて

2. 当社独自の低振動化技術

アキシャルギャップ形ファンモーターは、電磁石と円板状のマグネットの間に働く電磁力の吸引、反発で振動や騒音が発生します。

このため、当社では電磁界シミュレーションで電磁石のコア形状を、構造解析技術でマグネットのローター形状を、また、電子制御技術で運転を最適化することで、振動や騒音を抑え、製品化に成功いたしました。

電磁界シミュレーションによる騒音低減 (導入前)-コアに角度なしで磁界が交差。(導入後)-コアに角度ありで磁界が交差。磁界交差がなだらかに変化。

電磁界シミュレーションにより、マグネットに向かっている「コア」(電磁石表面部)の形状に、回転方向に対して角度(スキュー)をもたせました。コアとマグネットに発生する磁界の交差が、点から次第に広がる面で作用するため、吸引、反発から発生する振動や騒音を抑えます。

主な仕様

項目 ファンモーター
機種名 MFD - 71PO
適用エアコン 40 - 71型小型スプリットエアコン
モーター方式 ブラシレスDCモーター
電源 DC280V ~ 340V
性能 出力範囲 72W
効率 86%( 最大効率 )
駆動方式 PWM制御方式
正弦波駆動自動進角制御

 

「nocria」は、株式会社富士通ゼネラルの登録商標です。

発表資料中の記載内容は、発表日現在のものです。
予告なしに変更されることがありますので、ご了承ください。

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